令和2年12月に公布・施行された「押印を求める手続の見直し等のための総務省関係政令の一部を改正する政令」をもとに、行政手続き等の押印廃止が大幅に進み、今では押印が必要な書類の方が少なくなったのではないでしょうか。以前は押印のために書類を郵送していた手続きも、データでのやりとりが可能となり、よりスムーズに手続きができるようになりました。
押印できる人の不在が続き、書類作成に時間がかかる…
押印が漏れていたため、再度郵送しなければならない…
上記のようなこともほとんどなくなり、事務作業の負担が軽減されたように感じます。
ただし、押印廃止といっても、申請先によって押印が必要な書類・不要な書類はそれぞれ異なります。今回は、主に社会保険(健康保険・厚生年金保険・雇用保険・労災保険)について、引き続き押印が必要な書類をまとめました。
<健康保険・厚生年金保険(日本年金機構)>
健康保険・厚生年金保険 保険料口座振替納付(変更)申出書
健康保険・厚生年金保険 保険料預金口座振替辞退(取消)通知書 など
※ただし「金融機関届出印」「実印」による手続きが必要なものは、引き続き押印が必要です。
参考:日本年金機構.令和2年12月25日より年金手続きの押印を原則廃止します
https://www.nenkin.go.jp/oshirase/taisetu/2020/202012/20201225.html
<健康保険 (協会けんぽ)>
高額療養費支給申請書
限度額適用・標準負担額認定申請書
出産一時金支給申請書 等
※ただし「金融機関届出印」による手続きが必要なものは、引き続き押印が必要です。
また書面には「市区町村長印」は押印が必要なものもあります。
参考:全国健康保険協会. 協会けんぽへの各種申請書押印廃止の取扱いについて
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/g1/r3-2/2021021301/
参考:全国健康保険協会. 各種申請書の記名・押印が必要なくなりました
https://www.kyoukaikenpo.or.jp/shibu/oita/g1/r3-1/20210205ouin/
<雇用保険(ハローワーク)>
雇用保険適用事業所設置届(裏面)
雇用保険事業主事業所各種変更届(裏面)
雇用保険被保険者関係届出事務等代理人選任・解任届
各種届出における訂正印
☆雇用保険適用事業所情報提供請求書
☆雇用保険関係各種届書等再作成・再交付申請書
☆雇用継続給付関係各種通知書等再作成・再交付申請書
☆育児休業給付金申請に係る前職からの賃金・勤務状況確認
☆再就職手当支給申請書
☆雇用状況等証明書
☆採用証明書 等
ただし「登録印」「訂正印」、☆印の申請書の「事業主証明印」は押印が必要です。
また今回記載している申請先のうち、ハローワークへの届出のみ訂正印が必要ですので、今後申請される際はお気を付けください。
参考:東京労働局・ハローワーク. 雇用保険関係の届出に係る押印見直しについて
https://jsite.mhlw.go.jp/tokyo-roudoukyoku/content/contents/000887288.pdf
<労災保険(労働基準監督署)>
労災保険の請求書等については、全ての手続きにおいて押印を求めないとしています。
参考:労働基準監督署. 労災保険における請求書等に係る押印等の見直しの留意点について
https://www.mhlw.go.jp/content/000716582.pdf
新しい書式では、押印が不要な書面については押印欄が削除されています。事業所内で古い書式を保存して使用されている場合は、より効率的に手続きを進めるためにも、新たに各申請先のサイトよりダウンロードして活用してみてはいかがでしょうか。
押印廃止以外にも添付の省略が可能になるなど、手続きの簡略化を図る改正が今後も増えてくると推測されます。いつのまにか書式が変更となっていたということがないよう、普段手続している日本年金事務所やハローワーク内のホームページ内のお知らせなど、こまめに情報を確認することが必要ですね。
(文責 渡部)